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2015年2月17日火曜日

倍数の意外な定義

問題。「0は、5の倍数の一つである」この命題は正しいか。

答え。正しい。なぜなら、数aの倍数とは、数aを整数倍した数であると定義されるからである。具体的には、..., -3a, -2a, -a, 0, a, 2a, 3a,... である。

数学的帰納法で、「XXXは5の倍数である」という命題を式で表す時、

XXX = 5N (Nは整数)

と書かねばならず、

誤り:   XXX = 5N (Nは自然数)

と表現してはいけない。

2014年11月4日火曜日

媒介変数を直接消さないグラフの描き方

媒介変数表示された関数において、パラメーターを直接消去せずにグラフを描く方法を教わったので、公開することにした。

(問題)
次の曲線のx-yグラフを描け。
x = cosθ
y = cosθsinθ
但し、0 <= θ <= π/2

(解答)
まず、x、y、それぞれをパラメーターのθで微分する。

xの微分については、
dx/dθ = -sinθ ...(1)

yの微分について、まずyに半角の公式
(sin2θ=2sinθcosθ)
を適用し、その後にθで微分する。
y = 1/2 cos2θ
dy/dθ = cos2θ  ...(2)

後述する増減表を得るために、(1)式と(2)式の正負がどのように決まるか考える。まず、0 <= θ <= π/2より、(1)式は常に0以下である。また、(2)式は次の軌跡を描くので、θ=π/4を境目に正負が決まる。



次に、



と置き、(1)、(2)式の正負の境目となる
θ=0、π/4、π/2
の時のx,yを求めておく。

そして以下の増減表を得る。

増減表の最後の行の矢印について補足しよう。この矢印は、θがプラス方向に変化する時の、x-yグラフでの軌跡の方向を表している。例えば、2番目の左上向きの矢印は、θが0からπ/4に変化する時にx-yグラフの向きが左上向きになることを示している。これは、θが正方向に変化する時、dx/dθ = 負よりxが減少し(x-y座標では左向きに軌跡が描かれる)、dy/dθ = 正よりyが増加(x-y座標では上向きに軌跡が描かれる)するためである。

最後に

の順にプロットすると、以下のグラフが得られる。

(ポイント)
この解法のポイントは、何と言っても増減表の一番下の行の矢印である。これは、媒介変数での微分から得られるx-yグラフの軌跡の向きなのだ。dx/dθ、dy/dθの正負とx-yグラフでの軌跡の向きの組み合わせは、以下のようになる。



2014年8月20日水曜日

部分分数分解の簡易計算

分子が1の時の部分分数分解において、簡単に計算できる方法を最近の授業で教えて頂いた。備忘録を兼ねて以下にまとめておく。

 1 / (x+1)(x+5) ...(1)

上記を部分分数分解する場合を考えてみよう。まず、

1/(x+1)  -  1/(x+5)  …(2)

と先に目指すべき形を書いておく。ここでのポイントは真ん中の記号を常にマイナスに置くことである。次にこれを通分する。

(x+5)-(x+1) / (x+1)(x+5)

分子を計算すると4となる。

4  / (x+1)(x+5)   ...(3)式

ところで、(1)式とそれを部分分数分解した式は恒等式(xの値が何であろうと常に成り立つ等式)である。そして(3)式の分子の4を1にするために式全体に1/4を掛ければ(1)式と同じになり、両者は恒等式になる。したがって(3)式の展開元である(2)式にも同様に1/4を掛ければ、(1)式と恒等式になる。

1/4 { 1/(x+1)  -  1/(x+5)  }

このようにして部分分数分解が完成する。なお、この簡易計算は分母がもっと複雑な式でも、分子が1であれば適用可能である。

2014年8月14日木曜日

x = a sinθ の置換積分

置換積分の解法パターンの中に、次のようなものがある。

インテグラルの中に
√a^2-x^2
があれば、
x = a sinθ   ( -π/2 <= θ <= π/2 )
と置いて置換積分をせよ。

なぜ、x = a sinθ と置けるのだろうか。今日は多くの時間をこれに費やしてしまった。そして、以下のような結論に至った。


( x = a sinθ と置ける理由)
まず、
y = √a^2-x^2 ・・・(1)
と置く。すると、平方根の数(ルート)は0以上なので、
y >= 0 ・・・(2)
となる。

次に、(1)式の両辺を2乗すると、
y^2 = a^2 - x^2
これを整理すると、
x^2 + y^2 = a^2 ・・・(3)
となる。これは半径aの円の方程式だ。
但し、(2)式より、y >= 0 なのでこれは上半円である。

すると、この上半円から、
cosθ = x/a
より、
x = a cosθ ( 0 <= θ <= π ) ・・・(4)
と、x を表現できる(なお、θの定義域が上記となるのは、(3)式が上半円のためである)。

ところで、(4)式の中の
cosθ ( 0 <= θ <= π )
が取りうる値域は
-a <= cosθ <= a
である。これは、
sinθ (  -π/2 <= θ <= π/2 ) ・・・(5)
が取りうる値域と同じである。そこで、(4)式のcosθを(5)式で置き換えると、
x = a sinθ   ( -π/2 <= θ <= π/2 ) ・・・(6)
となり、解法パターンの式と同じものが得られる。

(なぜ素直に x = a cosθ と置かないのか)
おそらく、その後に続く積分計算を楽にするためであろう。仮に
x = a cosθ ・・・(7)
と置くと、置換積分の解法パターンに沿えば、その後にθで微分することになる。
dx/dθ = -a sinθ ⇔  dx = -a sinθ dθ
すると、上記のように置換後の式(-a sinθ dθ)にマイナス符号が現れ、その後に続く積分計算を面倒なものにしてしまう。これを避けるために x = a sinθ と置いたと思われる。そうすれば、
dx/dθ = a cosθ ⇔  dx = a cosθ dθ
となって、マイナスの符号が現れず、その後に続く積分計算をシンプルなままに維持できる。

(数学者の思惑)
数学の問題を解いていると、「なぜ、このような式展開をするのか」と疑問に思うことがある。その理由を考えてみると、定理や定義、公理に基づく数学的な理由が根拠というよりは、

  • その後の計算が楽になるから
  • 式に規則性ができて便利だから
という数学者の思惑とでも呼ぶべきものが根拠になっているように感じる。今回の置換積分の例もまさにこれではないか。

そして、この数学者の思惑は問題集の解説ではほとんど触れられておらず、それが理解を妨げる原因であるように感じる。